お便りに載せている私の雑文を加工して公開しているのですが(だからほぼ月イチなんです)
今月はなんとなく自分にダメを出しまして、ボツ原稿なるものができてしまいました。
もったいないので、書き足してここに出しておきます。
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先日、久々に音楽を聴きに行ってまいりました。
山下洋輔さんというジャズピアニストとオーケストラ・アンサンブル金沢の共演、ないし対戦、みたいなコンサート。
私、中坊かそのくらいの時分から山下洋輔さんが好きでして。
といってもその音楽を初めて聴いたのはだいぶ経ってからのことで、
そもそもは山下洋輔さんの文章が大好物だったのです。
ヨーロッパのジャズフェスティバルを騒然とさせたツアーの旅行記や
ほとんどサッカーや格闘技のようなトリオの演奏のリアルな描写、
あるいはジャズメンたちの「大人の悪ふざけ」の「迫真のドキュメント」を
隅から隅まで何度も読み返していたものです。
そのうち、聴いたこともないのに、本当に演奏を聴いた気になっていました。
そのくらい、文章に勢いがあって、生きた演奏みたいというか。
後になって実際に音楽を聴いてみましたが
それまで読んできた文章から受けた印象とのズレは全くありませんでした。
書くものにも、出す音にも、ウソがないんだと思います。
で、生涯3度目のナマ山下観戦。
かっこよかったですねえ。
オーケストラの大音量に必死で立ち向かうあばれピアノ。
いや、そう単純なハナシではないんだと思うんですが、
今思い出してみて浮かんでくるのはやっぱりそういう情景なもので。
上手いだとか下手だとか、そんなことはくだらない問題だなあと
全身で自分の音楽を鳴らすひとには、心の底から感動してしまうなと
しみじみ感じ入りました。
いやほんと、いいものを見させていただきました。