大船渡市は、銀行員だった親父の転勤で持ち家のある滝沢村から引越し、
長兄の高校受験の都合で滝沢村へ戻るまでの76年秋〜78年夏、
私が6歳から8歳までの期間を過ごした街です。
あまり時間も取れないため、今回大船渡まで行くのは無理かとも思っていましたが、
道路状況が思いのほかよく、また郵便局員の兄が休みを取っていてくれ、
運転を買って出てくれたこともあり、思い切って兄、母、私の3人で
行ってみることにしました。
まず目指すのは大船渡小学校。
ささやかながら義援金を直接お渡ししたいと考えました。
ある程度片付けが進んでいるバイパス沿いでも、まだがれきの撤去作業は完了してはいません。
大船渡小学校校門。完全に倒れてしまっています。
校門近くにあった電話ボックス。わかりづらいかもしれませんが、ガラスがありません。
校庭はすっきり片付けられ、子どもが遊んでいました。
奥に見える校舎は、私が在校時に工事・完成したところです。
2階にある昇降口が懐かしい。
校庭のすぐ下はまだこんな感じ。
津波は校庭を越えて上がってきたそうで、教師の方々が自分たちの判断で
揺れている最中にも校庭に集まった子どもたちを校舎裏手の高台側へ避難させたそうです。
そのおかげで児童の被害者はゼロ。
全国紙でも報道されています。
体育館に集められた救援物資。
作業されている方に、小学校への義援金をお渡ししたい旨お話ししたところ、
大船渡市役所に連絡を取られ、市活力推進課でいったん受け付けるとの回答が得られました。
お聞きしたのは、実は相模原市から応援業務入っていた職員の方。
お手数かけました。
ちょうど市内は桜が咲き始めたところ。
ふきのとうも開いています。
さて、大船渡市役所へ向かう道中、被害の大きな市街地を通っていきます。
市内は静かで、しん、としていました。
言葉がない。
「かもめの玉子」の配送トラック。
翌日からの販売再開を前に、出陣準備というところでしょうか。
これは大船渡市役所。
活力推進課から教育委員会につないでいただき、だんだん大げさな感じになって
かなり恥ずかしくなりました。
義援金とかいっても、そんな大したアレじゃないんです。
ほんとすみません。
わきの下に汗を感じながら、最終的には教育長にお渡しすることになりました。
「子どもたちに役立てていただければ」とこちらの希望をお伝えし、
こころよく受け取っていただきました。
ありがとうございました。
お昼どきを過ぎ、さすがに空腹。
せっかくなので、当地の飲食店さんに売り上げを残したいということで、
がんばって営業しているラーメン屋さん「黒船」へ。
利益度外視で食事を提供されています。
この貼紙だけで鼻の奥が痛くなりました。
店名はミカバンドから? どこからどう見ても音楽好きな店主のお店でした。
横尾忠則画伯の清志郎ポートレート。
スペシャルズ。そして2トーン。
ていうか、ライブハウスでもあるんですね。本物でした。
ラーメンも本物。秋刀魚で出汁をとった秋刀魚だしラーメン。んまい。
ラーメン+食べ放題のご飯で500円。ありえん。
その日からメニューに追加されたギョーザもいただきました。
皮がとてもおいしいギョーザは300円。
もう帰ったほうがいい時間になっていましたが、市街地から赤崎港方面へ行くことにしました。
家が沈んでる…。
どうしてこうなるのか、よくわからないんですよ、いまだに。
このお宅の写真は、その後いろいろなところで報道されていることに気づきました。
何台あるのか見当もつかない、自動車の回収場所。
当地を後にしたのは、もう夕方近くになっていました。
大船渡にいられたのはほんのわずかな時間。
現地の方と少し話ができましたが、思った以上に淡々と受け止められているのが印象的でした。
そうですよね、深刻な顔してても何も産まれない。
それにしても感じるのは、彼我の埋めようがない差というか…。
自分は遠い北陸の地で生活しているわけですが、意識としては完全に当事者のつもりなわけです。
生まれ育ったトーホグが尋常でない被害を受けていることは、
自分にとっても実際に感覚として「痛い」と感じられるくらい、つらく思えるんです。
このブログや自分で作るチラシなどでは、「被災地の方へ御見舞申し上げます」的な紋切り表現は
意識して使わないようにしています。
というのは、やっぱり自分が当事者のつもりだから。
「御見舞申し上げる」のはやっぱり対岸の人じゃないか、
免罪符として使ってるだけじゃないか、とつい感じてしまうんです。
でも、現地に行ってみて、自分が当事者でないことを痛切に感じました。
自分はやっぱり被災していない。
実際に被災した方の立場には、どうしたって立てない。
じゃあどうするのって、結論はわりと簡単に出せるとは思います。
要は自分の立場で、自分にできることをしていくしかない。
どれほど思考を重ねても、結局はそこに立ち戻るしかないんだと思うのですが、
何というか、要は頭を揺さぶられたような気分がちょっと続いているんです。
もうちょっと時間が経てば、また違う考え方ができるかもしれませんが、
今日のところはこんな感じです。
しかし、ずいぶん長いエントリーになったな、こりゃ。